賃金水準そのものもさることながら、ヨーロッパの多くの国では、社会保障費などの賃金以外のコストの高さが、人を雇うことの障碍になっていると言われている。企業が雇用者に支払うのは賃金だけではない。税金・年金・失業保険・医療保険などの社会保障の負担も義務づけられている。もちろん、雇用された者も自ら支払わなければならないが、ほとんどの場合、企業側も折半して負担することが法律などで義務づけられている。社会保障給付が手厚い国ほど、その負担も高いものになる。
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一般的に、ヨーロッパ諸国は雇用者に対する社会保障が行き届いていることで知られている。労働者の権利として、制度的に根づいているからであるが、それは裏返せば企業にとっての負担が過大になっていることでもある。経済のグローバル化か進み、投資活動の海外への移転も自由に行われる状況では、こうしたコストの差は企業が人を雇う場合の要因として重要な意味を持つ。概してヨーロッパ諸国の非賃金コストが高いという特徴が見られる。主要国のなかでは、ドイツの高さが目立つ。ドイツの場合、総賃金コストに占める企業の税・社会保障負担の割合は、四五%となっている。これが何を意味するかは、アメリカと比較すれば明瞭である。労働者に支払う賃金(賃金コスト)はアメリカもドイツもそれほど大きな差はない。しかし、企業が負担する賃金以外のコスト(非賃金コスト)はドイツのほうが大きい。総賃金コストに占める非賃金コストの割合は、ドイツの四五%に対しアメリカは二八%にすぎない。